From:榑井 克也
こんにちは、榑井(くれい)です。
ダイエット中なのに、、「つい食べすぎてしまう」「我慢しきれない」
ダイエットのためには我慢しなきゃいけないのに、食欲や行動を自制しきれずに台無しにしてしまったことはありませんか?
もし、そうした経験がある場合自制心に対する考え方を変えてみると案外我慢できるようになるかもしれません。
あなたは、ご自分の自制心がどの程度維持できるものと考えていますか?
大人なら、その気になればいつも完璧に自制できる…
大人なら、自分を管理しつづけて当然…
もし、そのように考えているならその考え方があなたのダイエット持続を妨げているかもしれません。
「自制心は消耗品である」
アメリカで行われたある実験では、そう結論が出ています。この実験は2段階に分けて行われました。
1段階目では、チョコチップクッキーを焼いたばかりのあま~い匂いが立ち込める実験室に、あらかじめ腹ペコになっていてもらった大学生たちを集めました。
実験室にはテーブルが2つあり、どちらのテーブルにも2つのお皿が置いてあります。
片方のお皿には焼き立てのチョコチップクッキーが山盛り、残りの皿にはカイワレ大根が山盛りで入っています。
研究者たちは、大学生を2つのグループに分けて、それぞれテーブルにつかせると、次のように指示しました。
「グループ1は、チョコチップクッキーを2~3枚食べてください。カイワレ大根は食べなくて良いです」
「グループ2は、カイワレ大根を好きなだけ食べてください。チョコチップクッキーを食べてはいけません」
哀れなグループ2の腹ペコ大学生たちは、目の前に焼き立てのチョコチップクッキーがあるのにお預けをくらい、グループ1が美味しそうにチョコチップクッキーを頬ばるのを恨めしそうに眺めることになりました。
カイワレ大根をかじりながら。。。
この1段階目の実験では、どちらのグループも研究者たちの指示をしっかりと守りました。
グループ2はしっかりとカイワレ大根だけを食べて、チョコチップクッキーの誘惑に立派に逆らって我慢しました。
グループ1がカイワレ大根の誘惑に軽々逆らったことは言うまでもありません。
これこそ人間の意思の力、自制心の賜物(たまもの)です。
実験は第2段階に移ります。
大学生たちには、一筆書きで複雑な図形を描くというパズルが出題され、試行錯誤できるよう何枚もの紙が配られました。
しかし、実はこのパズルはどうやっても解けないようになっていました。
研究者たちが見たかったのは、大学生たちが難しくてストレスのたまる課題をどれだけ長く続けられるかという点です。
チョコチップクッキーを食べてカイワレ大根の誘惑に軽々逆らったグループ1の大学生たちは、課題に19分費やし、パズルを解こうと34回の妥当な試行錯誤を繰り返しました。
一方、カイワレ大根を食べて、チョコチップクッキーの強烈な誘惑を我慢したグループ2の大学生たちは、わずか8分で力尽き、19回しか試行錯誤できませんでした。
なぜグループ2の大学生たちは、グループ1に比べてカンタンに諦めてしまったのでしょうか?
それは彼らがチョコチップクッキーを我慢した上に、絶対に解けないパズルを与えられて、自制心を使いきってしまったから、と考えられます。
他にも、似たような数々の実験・研究で、自制心は消耗するもので、有限の力であることが分かっています。
筋肉も疲れていなければ軽々動けますが、疲れてくると思うように動かせなくなっていきますよね。
自制心も同様に、使い続けると枯渇してしまうのです。
「自制心は無限に維持できるものではない」
「自制心は消耗する力である」
こう認識できていることは重要です。
なぜなら、自制心は日常の本当に様々な場面で消耗しているものだからです。
自制心は、
・食べ物を我慢する
・難しい課題に集中して挑戦する
といったシーンだけに消耗するものではありません。
例えば、
・新しい人達と出会う時
・新しい仕事を覚える時
・ベッドやテーブルを組み立てる時
こうした場面でも、言葉遣いや振る舞い、動作に慎重になっているはずです。
それらも自制心を消耗するアクションなんです。
目立った出来事がなかったように思える日も、細かく振り返ってみると案外自制心を消耗していた…なんてこともあるのではないでしょうか。
そんな毎日の中で
「ダイエットを続ける」
というのは大変な取り組みです。
「昨日まで食べられたものを、我慢しなければいけない」
「運動が苦手なのに、動かなきゃいけない」
我慢するシーンが多ければ、自制心も大きく消耗するはずです。
自制心が枯渇してしまえば、つい食べすぎてしまったり、食べちゃいけないものを我慢しきれず食べてしまうということもあると思います。
チョコチップクッキーを食べられなかった学生たちと同じように、我慢しすぎて力尽きてしまうんです。
ダイエット中なのに、
「つい食べすぎてしまう」
「我慢しきれない」
そんな時って、「私はなんてダメなんだ。怠け者なんだ」なんて具合に自分を責めたい気持ちになることもあると思います。
でも、実はダメでも怠けているのでもなく、頑張りすぎて、自制心が尽きて疲れきってしまっているだけなのかもしれません。
ダイエットという大きな取り組みを成功させるには、自制心を持続させていくことが必要です。
自制心が有限であると認識できれば、どうやったら力尽きずに変化を起こしていけるかを考えることが出来るのではないかと思います。
なぜ、自制心が尽きてしまったのかを考えて、自制心が枯渇してしまわないようにするにはどうすれば良いのか、対策をたてることが必要なのではないでしょうか。
「ダイエットの方法に無理はないか?」
「いっぺんに全部変えようとして、我慢することが多すぎないか?」
自制心を使い過ぎないように、少しずつ変化を起こしていけば、「つい食べ過ぎてしまう」なんてことも減っていくかもしれませんね。
それでは、また。
ありがとうございました。
-榑井 克也
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【参考文献】
Roy F. Baumeister, Ellen Bratslavsky, Mark Muraven, and Dianne M. Tice (1998), “Ego Depletion: Is the Active Self a Limited Resource?” Journal of Personality and Social Psychology, 74, 1252-1265